
分譲マンションの高騰が賃貸マンション市場へ与え得る影響とは?
今回は、日本でも物価上昇の流れが本格的に定着してきた中、賃貸住宅マーケットにおける賃料は足元でどのようになっているのかみていきます。
日本のインフレ動向につき、総務省が公表する消費者物価指数をみると、総合指数は2025年5月に前年同月比+3.5%と2022年4月以降は日本銀行の物価安定の目標である2%を超えるインフレ率が続いていますが、さらに内訳の項目では賃貸住宅の賃料上昇も示されています。消費者物価指数における民営家賃(非木造)の東京都区部における指数をみると、2025年5月は前年同月比+2.1%と上昇トレンドに入ってきていることがわかります(図表1)。
出典:総務省「消費者物価指数」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
こちらは借家の賃貸継続時の賃料が反映されており、普通借家契約により借主が保護されている日本では長らく契約更新時に賃料が上がりづらく、こちらの指数も動きの鈍い状況にありましたが足元では上昇へと明確な変化がみられます。
以前公開した記事「分譲マンションの高騰が賃貸マンション市場へ与え得る影響とは?」でも示したように、分譲マンションの価格が高騰する中、首都圏の賃貸マンションの賃料も上昇してきており、新規契約賃料を反映した賃貸マンションの賃料インデックスの推移をみても、2025年第1四半期に至るまで各エリアで水準を上げてきています(図表2)。
東京23区の賃料上昇の勢いの強さが窺われますが、首都圏の周辺部も賃料上昇トレンドは続いています。千葉西部については直近の2025年第1四半期の前年同期比の上昇率は+7.6%と東京23区の+5.6%を上回る勢いとなっており(図表3)、東京での分譲マンション高騰やマンション賃料上昇にみられるように東京での生活コストが高まる中、東京周辺部にも賃貸需要が高まってきている可能性も考えられます。
出典(図表2、3):アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所「マンション賃料インデックス」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
賃貸住宅マーケットは足元で良好と推察され、今後も都心での居住を希望する層の需要が賃料水準へどこまで影響するのかについては引き続き関心の的になるとみられます。
※本記事作成時点:2025年6月27日
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