
分譲マンションの高騰が賃貸マンション市場へ与え得る影響とは?
今回はホテルマーケットの足元の動向についてみていきます。
観光庁が公表する宿泊旅行統計に拠れば、2025年4月(第1次速報値)の延べ宿泊者数は日本人と外国人の合計で53.4百万人泊と前年同月比+2.8%で改善が続いています(図表1)。
ただ、日本人と外国人の内訳をみると、日本人は37.0百万人泊で前年同月比-1.1%、外国人は16.4百万人泊で同+13.0%と、外国人の増加が全体を牽引しています。
日本人は前年同月比、12か月連続で前年割れと伸び悩む一方、外国人は改善が続いています。これにより述べ宿泊者数全体に占める外国人の比率は高まってきており、2025年に入ってからは30%を超える月も見られます(図表2)。
出典(図表1、2):観光庁「宿泊旅行統計調査」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
さらに地域別で2025年3月(第2次速報値)の外国人比率をみると、東京都は57.0%、大阪府は39.9%、京都府は54.7%と全国でも水準は高めで、特に東京都と京都府は延べ宿泊者数の半数以上が外国人によって占められています。
宿泊旅行需要が改善していること自体はホテルマーケットにおいては好ましい状況ではあるものの、仮に海外経済が鈍化した場合は外国人の観光需要も減退する可能性があり、外国人への依存度が高まることには、需要の急な変動リスクを抱えるという測面があることに注意が必要です。
一方、外国人需要について日本政府観光局の訪日外客数をみると、2025年第1四半期は計約1,050万人で前年同期比+23.1%と、さらに増加しています(図表3)。
国籍別でみると、中国が約230万人と前年同期比+78.1%で急激な改善を示しています。従前より訪日外客数では韓国、中国、台湾、香港の数が多い状況にありましたが、最近では米国も増加傾向にあり、2025年第1四半期は約71万人と香港の約64万人を上回る水準にまで高まってきています(図表4)。
出典(図表3、4):日本政府観光局「訪日外客統計」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
また、インバウンド消費動向については、観光庁によると2025年1-3月期の訪日外国人旅行消費額は2兆2,720億円で前年同期比28.4%増と推計され、国籍別では中国5,443億円(シェア24.0%)、台湾3,168億円(シェア13.9%)、韓国2,824億円(シェア12.4%)の順に旅行消費額が大きく、特に中国の旅行消費額は前年同期比+52.3%と、伸び率においても他国より大きい状況でした。
訪日客数、旅行消費額ともに中国の影響力は大きいとみられ、インバウンド需要を見ていくうえでは、米国の関税政策の影響など、今後の中国の景気動向は要注視と言えます。
※本記事作成時点:2025年6月13日
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