
不動産投資の流動性リスクとは?その特徴と対処法を検証
今回は、ホテルマーケットについて現状を確認します。
本稿では、観光庁「宿泊旅行統計調査」に基づき国内の宿泊需要を整理したうえで、インバウンド需要を受け入れるインフラ面の前提条件として、国際定期便の就航状況についても確認します。
まず、宿泊旅行統計における国内の延べ宿泊者数の足元の動向を見ていきます。
2025年合計の延べ宿泊者数は653百万人泊と前年比0.8%減で、内訳では日本人が476百万人泊と前年比3.8%減、外国人が178百万人泊と前年比8.2%増でした。
全体としては2021年以来の減少で、日本人は2年連続で減少しています(図表1)。

2026年に入ってからの月次推移を見ると、1月と2月は日本人と外国人ともに前年同月比での減少が続いています。
中国の春節が2025年は1月と2月にまたがり、2026年は2月より始まったため、外国人の延べ宿泊者数については月次の前年同月比に影響している可能性がありますが、この影響を排除するため1~2月を合算して前年同期比で見ても、2026年1~2月は10.7%減と減少しています。
1月の第2次速報で公表された国籍別データによると、中国の延べ宿泊者数は前年同月比62.9%減と大幅に減少しており、2025年11月以降の中国政府による渡航自粛要請の影響が大きいと推察されます。
一方、日本人の動向についても前年同月比での減少が続いており、今後の推移を注意深く見ていく必要があります。(図表2)。

次に、地域別の延べ宿泊者数の動向を見ると、2025年は東京都106.7百万人泊、大阪府57.6百万人泊、北海道45.4百万人泊の順に多いですが、ここでは特に上位である東京と大阪について、日本人・外国人別の前年同月比での動きを確認していきます。
東京については、2025年以降、前年同月比での日本人の減少が続いており需要が鈍化している可能性が懸念されます。
また、外国人についてもコロナ禍からの社会経済活動の正常化以降は増加が続いていましたが、2025年10月以降は減少しており、宿泊需要のペースが鈍化しています(図表3)。

一方、大阪について見ると、日本人は東京のように2025年は減少が続いておらず8月と9月は増加率が拡大していました。これは2025年4月から10月にかけて開催された大阪万博が影響したと推察されます。
ただ、11月以降は減少となっており、今後、日本人需要の鈍化が継続するのかどうかについては、引き続き注視が必要です。
また、外国人については、東京に先行して2025年6月から減少傾向となっており、外国人の宿泊需要のトレンドに変化が出ているのか、今後も月次での推移を注意深く見ていく必要がありそうです(図表4)。

宿泊需要における外国人の存在感は特に東京で高まってきており、東京の延べ宿泊者数に占める外国人の割合は2025年4月に60%に達した後、2026年1月時点でも56.2%と高い水準を維持しています(図表5)。

出典(図表1~5):観光庁「宿泊旅行統計調査」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
全体の半数以上を外国人が占める状況が続いており、外国人の動向に影響を受けやすいマーケットであると推察されます。
次に、これらの外国人需要を受け入れる態勢について確認します。
国土交通省が公表する「各期の国際定期航空便の主な動向」に基づき、各空港における国際定期便の便数を見ると、2025年冬季(2025年10月26日~2026年3月28日)は、いずれの空港でも前年同期の2024年冬季を上回っています。
増加率を空港別に見ると、那覇が31.7%増、新千歳が25.6%増、関西国際が13.1%増、福岡空港が9.6%増、中部国際が7.5%増、成田が6.1%増、羽田が2.4%増となっており、足元では各空港で便数が増加しています。
また、各季の便数をコロナ前の同期と比較すると、2025年冬季は空港別では成田や中部国際が依然として下回っているものの、羽田、関西国際、福岡、新千歳、那覇ではコロナ前を上回っています。主要空港合計では2019年冬季比で8.4%増となっており、インバウンドの受け入れ態勢は徐々に改善してきているとみられます(図表6)。

出典:国土交通省「各期の国際定期航空便の主な動向」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
上述のとおり、外国人の延べ宿泊者数は足元の月次推移では鈍化が見られますが、外国人宿泊需要のトレンドを判断するには、引き続き今後の動向を注視していく必要があると考えられます。
※本記事作成時点:2026年4月20日
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