
日本で金利が引き上げられる中、不動産投資への影響は?
日本銀行は2024年3月に政策金利をマイナスから0.1%程度へ引き上げ、7月に0.25%程度へとさらに引き上げましたが、一般に政策金利の上昇は国債の利回りや銀行の貸出金利などへ波及し、企業や個人の経済活動に影響を与えると考えられます。
今回は、政策金利の上昇によって影響を受ける他の金利指標についておさらいをし、足元の動向について確認していきたいと思います。
図表1は日本の政策金利と全国銀行協会が公表する日本円TIBOR 3MONTHの推移を示しており、薄いブルーで塗りつぶした箇所は2024年7月31日の日本銀行の利上げ以降の時期を示しています。
TIBORとはTokyo Interbank Offered Rateの略で、「東京銀行取引間金利」を指しており、メガバンクなどの主要行が提示する金利の平均値です。3MONTHとは期間3か月金利の年率%を意味しています。
出典:全国銀行協会、日本銀行よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
TIBORは企業が銀行から借入する場面でのベースとなる基準金利のうちの1つで、実際に適用される金利には、これに借入企業の信用力等に応じたスプレッドと呼ばれる上乗せ金利が加えられます。
両者の推移をみると、概ね連動していることがわかり、2024年3月に日銀が利上げを実施する直前の日本円TIBOR 3MONTHは0.2%程度でしたが、その後は利上げに応じて上昇していき、2024年末には0.62%まで水準を上げてきています。
TIBORの水準が上がってきたことで、今後、企業がリファイナンスや新規借入を実施する際には借入負担が徐々に上がっていくことが見込まれます。足元のJ-REIT市場が軟調な展開となっているのも、先行き金利負担が重くなっていく可能性があることを投資家が懸念している側面もあるのではないかと推察されます。
市場参加者の見通しでは、日本銀行は2025年内に2度の利上げを行うのではないか、との見方も一部で出ていますが、いずれにせよ2025年も金利上昇局面が続く公算が大きく、金利上昇が企業の設備投資を冷やさないか、また、日経平均株価や東証REIT指数などのマーケット相場を下押しする材料となるのか、金利上昇が与える影響については注視すべき状況が続くとみられます。
※本記事作成時点:2025年1月10日
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