お客様のブラウザでJavaScriptが無効になっています。正しく利用するために、JavaScriptの設定を有効にして、もう一度お試しください。

J-REIT市場では公募増資を行いづらい中、資産入替を通じた利益成長追求の動きがみられる

KDX ST パートナーズ株式会社

2025年6月20日

  • 不動産投資
J-REIT市場では公募増資を行いづらい中、資産入替を通じた利益成長追求の動きがみられる
  • x
  • facebook
  • line

コロナ禍を経て社会経済活動が正常化していく中で、不動産市場においては住宅、ホテル、オフィスなどのアセットで市況改善がみられていますが、J-REITのパフォーマンスは足元でどのようになっているのでしょうか。

米トランプ政権誕生以降、金融市場でも混乱が続く中、J-REITの足元までのパフォーマンスについてみていきます。東証REIT指数の推移をみると、2024年3月以降に日本銀行の利上げが進行し長期金利が上昇する中で、東証REIT指数は上値が重い状況となっています(図表1)。

図表1_東証REIT指数の推移

出典:日本取引所グループ「株価指数ヒストリカルグラフ」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成



2025年2月12日の記事「日本で金利が引き上げられる中、不動産投資への影響は?」でもご紹介したように、金利上昇は支払利息の上昇を通じて分配金の減少につながり得るため、J-REIT市場には下押し圧力がかかりやすい環境となっています。

金利上昇局面でJ-REIT市場にとっては厳しい環境が続きますが、東証REIT指数の足元のパフォーマンスをみると、2025年の年始から2025年5月23日までは+4.0%となりました。

1月は米トランプ政権の関税政策への警戒や日本銀行の利上げ観測などで月初から軟調な展開でしたが、28日にシンガポールの投資ファンドである3Dインベストメント・パートナーズがNTT都市開発リート投資法人に対するTOB(公開買い付け)を発表したことでJ-REITの割安感が意識され、月末に上昇し、1月は月間で+3.1%のパフォーマンスでした。2月以降は米国の関税政策の影響を巡る懸念もある中で下落し、その後は反発する局面もあるなど、上下しながら2025年5月23日にかけて+0.9%とやや上昇しました。

東証REIT指数は年初来で足元まで水準を上げてきているものの、金融市場を取り巻く不透明感がある中、公募増資を行いづらい環境は続いており、1月発表の東海道リート投資法人による1件以外は2月、3月、4月は1件も公募増資の発表は行われていません。公募増資の際は通常、物件取得に伴い利益成長が追求されますが、公募増資を行いづらい環境下でJ-REIT各社は 資産入替 によって、成長を追求する動きを見せています。

具体的には、オフィスでは日本ビルファンド投資法人が2025年3月に「芝NBFタワー」を321億円(NOI利回り3.4%)で譲渡し、「横浜三井ビルディング」を431億円(NOI利回り3.9%)で取得し、収益性の改善を行いました。またOneリート投資法人は南品川のビル計3棟を3月に計67億円で、熊本県熊本市のビルを2月と3月に分けて計10億円で譲渡し、3月に「コンフォートイン名古屋栄駅前」を77億円で取得し、オフィスからホテルへの資産入替を実施しています。

ホテルへの資産入替の他事例としてはオリックス不動産投資法人が「青山サンクレストビル」を2025 年8月期、2026年2月期、2026年8月期の3期に分けて計169億円で、「北青山ビル」を2025年3月に10億円で譲渡し、「ホテル ユニバーサル ポート ヴィータ」を350億円で同年3月に取得することを公表しています。

トランプ関税政策の金融市場に与える影響が計りづらい中、今後も公募増資を行いづらい状況が続くと想定するならば、資産の入替を通じてポートフォリオの改善を行う動きが続くとみられ、資産入替の際の譲渡・取得によって収益性は改善するのか、取得前後の利回りの変化にも目を配る必要があります。

※ 東証REIT指数について:
東証REIT指数の指数値及び東証REIT指数に係る標章又は商標は、株式会社JPX総研又は株式会社JPX総研の関連会社(以下「JPX」といいます。)の知的財産であり、指数の算出、指数値の公表、利用など東証REIT指数に関するすべての権利・ノウハウ及び東証REIT指数に係る標章又は商標に関するすべての権利はJPXが有します。JPXは、東証REIT指数の指数値の算出又は公表の誤謬、遅延又は中断に対し、責任を負いません。

※本記事作成時点:2025年5月30日



本記事は、KDX ST パートナーズ株式会社(以下、「当社」といいます)および当社グループによる、不動産STなどに関する情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘または斡旋を目的としたものではありません。
本記事に記載された内容については細心の注意を払っておりますが、掲載された情報の内容の正確性、有用性、完全性、また適切性等について、当社および当社グループは一切保証するものではありません。また本記事において使用するデータおよび表現等の欠落・誤謬等について、当社および当社グループは一切責任を負いかねますので、ご了承ください。
また、本記事に記載された内容は、本記事の作成時点のものであり、事前の通知なくして変更されることがあります。
本記事の中の記述は、作成時点で入手が可能な情報を基に想定される合理的な判断に基づくものと考えておりますが、さまざまなリスクや不確定な要素が含まれている点にご留意ください。
本記事の著作権その他の権利は、特段の断りがない限り、当社に帰属しています。

  • x
  • facebook
  • line

この記事を読んだ人におすすめ