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物流マーケットを見る上のポイントは?-どのデータに注目するべきか-

KDX ST パートナーズ株式会社

2025年4月23日

  • 不動産投資
ホテルマーケットを見る上のポイントは?
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前回記事(ホテルマーケットを見る上のポイントは?-どのデータに注目するべきか- )では、ホテルマーケットを見る上でのポイントにつき解説しましたが、今回は物流マーケットを見る上でのポイントにつき取り扱っていきたいと思います。

物流施設は主に貨物を保管、仕分けする施設であり、ここでは賃貸用の物件についてみていきます。賃貸物流施設にはマルチテナントタイプとシングルテナントタイプがあり、マルチテナントタイプは1つの物流施設を複数の企業が利用するタイプで、シングルテナントタイプは1つの物流施設を1社が契約するタイプとなっています。

入居するテナントとしては物品の配送を行う物流業、小売・卸売業、製造業などが挙げられます。コロナ禍では外出が制限される中で自宅などでの巣ごもり需要が増加し、EC(電子商取引)が拡大し、商品の配送・保管ニーズが高まったことを背景に、物流施設への需要は高まりました。

経済産業省が公表している「電子商取引実態調査」によると、国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模(物販系分野・サービス系分野・デジタル系分野の合計)は2023年に約24.8兆円と拡大傾向にあり、うち物流施設の需要につながる物販系分野(飲食料品、化粧品、衣料品、生活家電など)は約14.6兆円と半分以上の割合を占めています。

物販系分野は、2023年は前年比4.8%増と伸び率は鈍化してきていますが、2019年の約10.0兆円からは拡大傾向にあり、物流施設の需要増に寄与したものと推察されます。

堅調な需要を背景に物流マーケットにおける需給は2020年頃に特に首都圏で引き締まっており、CBRE「ジャパンロジスティクスマーケットビュー」が定義する首都圏大型マルチテナント型物流施設(Large Multi-Tenant, LMT)の空室率は平均空室率と既存物件空室率(築1年以上)で2020年はいずれも1%未満まで低下しました(図表1)。

図表1_首都圏LMT空室率と賃料
出典:CBRE「ジャパンロジスティクスマーケットビュー」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成

一方、近年は需要拡大を背景に物流施設の供給も増加してきており、国土交通省が公表する「建築着工統計」をみると、「倉庫」の着工床面積は2022年にかけて全国的に増加傾向にあり、2021年は約1,310万㎡、2022年は約1,320万㎡と過去最高水準の供給量となりました。ただ、その後は建築コストが上昇する中で2024年にかけては減少しています(図表2)。

図表2_倉庫の建築着工床面積(全国)
出典:国土交通省「建築着工統計調査報告」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成

首都圏においても供給量が増えていく中で首都圏LMTの空室率は直近で全体は10%付近まで上昇してきていましたが、2023年と2024年の着工床面積はピーク時よりは落ち着いてきており、需給バランスを見る上で今後の供給ペースは要注視と言えます。

※本記事作成時点:2025年4月4日

本記事は、KDX ST パートナーズ株式会社(以下、「当社」といいます)および当社グループによる、不動産STなどに関する情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘または斡旋を目的としたものではありません。
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