
大阪市の賃貸マンション市場の動向について
今回はホテルマーケットの動向について取り上げたいと思います。
観光庁公表の宿泊旅行統計から宿泊施設延べ宿泊者数を見ますと直近の2025年8月(第1次速報値)は全国で66.8百万人泊と前年同月比0.8%増となり、2025年6月の2.4%減、7月の2.6%減から増加へと転じました(図表1)。
2025年8月の内訳を見ますと、日本人は53.3百万人泊で前年同月比0.7%増、外国人は13.5百万人泊で前年同月比1.4%増となっており、日本人は2025年1月から7月まで前年同月を下回る状況が続いていましたが、8月は前年同月をやや上回る結果となりました。
一方、外国人は、2025年7月は前年同月比4.2%減とコロナ禍の2022年7月以来の減少となり、先行きが懸念されている状況でしたが、8月は再び増加する格好となりました。ただし、前年同月比での伸び率は縮小してきており、これまで全体を外国人増が支えてきただけに、今後の外国人宿泊動向は要注視となっています。
上記は全国ベースでの話ですが、2025年7月(第2次速報値)までは地域別の動向が公表されています。
2025年7月について詳しく見ていきますと、最も多いのは東京都の8.7百万人泊で、次いで北海道の4.6百万人泊、大阪府の4.6百万人泊となっており、前年同月比で見るとそれぞれ5.3%減、0.6%減、7.9%減と足元では減少しています(図表2)。
特に留意しておくべき点としては東京の内訳で外国人が前年同月比6.6%減と2022年8月以来の減少となったことです。
東京都においては全体の延べ宿泊者数に占める外国人の比率が半分以上を占めており、外国人動向の全体の延べ宿泊者数に与える影響力は大きいとみられます(図表3)。

出典(図表1~3):観光庁「宿泊旅行統計調査」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
7月単月の結果をもってしてトレンドを判断するのは尚早ですが、これまで東京都において宿泊者数の伸びを牽引してきた外国人の動向に変化が起こり得るのか注視していかなければいけない状況にはあるとみられます。
外国人の動向につき、日本政府観光局(JNTO)発表の訪日外国人客数(総数)を見ると、直近の2025年9月は約320万人で、1-9月累計は約3,100万人と、前年2024年1-9月累計と比べると17.7%増で、外国人客数はさらに増えてきています(図表4)。
出典:日本政府観光局「訪日外客統計」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
一方、国・地域別に見ると足元で香港が前年同月比で減少する状況が続いています。
香港では日本で災害が発生するという科学的根拠不明の情報が流布した影響があったとみられ、2025年6月は約16.6万人で前年同月比33%減、7月は約17.6万人で同37%減と減少した後、9月も約14.9万人で同12%減と、前年比での回復がみられていません。
これが一時的要因なのか、香港からの外客数トレンドの変調を示すものか、今後の動向には注意を払っておきたいところです。
上述の宿泊旅行統計でも示されているように、宿泊需要における外国人依存度が東京都などでは高まっていることから、海外景気などの変動により香港含め全体の外国人客の移動にも変調が現れないか引き続き観察が必要とみられます。
※本記事作成時点:2025年10月17日
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