
物流マーケットの動向について
今回は最近の賃貸住宅市場の動向について、東京都における需要と供給、賃料を中心に見ていきたいと思います。需給については具体的には人口動態、住宅の着工戸数の動向などの現状について把握していきます。
まず人口動態ですが、総務省が公表する「住民基本台帳人口移動報告」から東京都における人口の転入超過数(=転入者数ー転出者数)の推移を見てみましょう。
東京23区と東京都下においては総じて人口の転入超過が続いており、2025年は1月から11月までの合計で東京23区は106,459人、東京都下は34,543人の転入超過となりました。東京においては人口流入が続いており、賃貸マンション需要の下支え要因の1つになっているとみられます(図表1)。
一方、転入超過数を前年同月と比べ、人口流入の勢いを見ていきましょう。
すると、東京都下は概ね前年同月より増加している一方、東京23区は減少傾向となっています(図表2)。

出典(図表1、2):総務省「住民基本台帳人口移動報告」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
つまり、東京23区では人口は流入しているものの、その勢いは前年ほどではない状況が続いている点には留意が必要です。東京23区においては今後も転入超過が続くのか、そして、前年比での減少幅は拡大するのか、もしくは再び前年比で増加し勢いづいていくのか、賃貸需要を見通していくうえで注視していきたいポイントです。
供給サイドの状況を見ていきましょう。
下図は国土交通省が公表している「住宅着工統計」から貸家の住宅着工戸数の推移を見たものです。単月ではブレが大きいので年間移動平均での供給トレンドをみると、東京23区では総じて横ばい圏で推移しており、少なくとも増加傾向とはなっていません(図表3)。

また、東京都下についても2025年下半期あたりにやや水準をあげましたが、足元では鈍化しており、供給が勢いづいているとは言えない状況です(図表4)。

出典(図表3、4):国土交通省「建築着工統計調査」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
これら供給動向を見ていくにあたって、建築コストの動向についても改めて確認していきます。
以下は建設物価調査会の建築費指数の前年比上昇率の推移です。各用途別で見ますと、それぞれ上昇率は鈍化してきているとはいえ、例えば住宅は前年比+5%台での伸び率が維持されており、建築コストの上昇自体は続いています(図表5)。

出典:⼀般財団法⼈ 建設物価調査会「建設物価 建築費指数」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
建築コストが高止まりする中では、事業採算に合う賃料水準を設定することができなければ新規供給は進めづらいとみられます。
このような需給の環境下、賃料の推移について見ていきましょう。
以下はアットホームと三井住友トラスト基礎研究所が公表する「マンション賃料インデックス」について、2009年第1四半期を100として東京23区と東京都下の指数推移を示したものです。
東京23区については各タイプで上昇傾向が続いており、2025年第3四半期は前年同期比での上昇率が、シングルは+6.3%、コンパクトは+5.5%、ファミリーは+9.1%となり、特にファミリーは2025年以降に上昇率を拡大してきています(図表6)。

一方、東京都下も各タイプで総じて上昇傾向にはあるものの、2009年からの推移で見た上昇度合は東京23区と比べると緩やかです(図表7)。

出典(図表6、7):アットホーム株式会社、株式会社三井住友トラスト基礎研究所「マンション賃料インデックス」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
2025年第3四半期は前年同期比での上昇率が、シングルは+6.1%、コンパクトは+3.9%、ファミリーは+0.1%と上昇してはいますが、賃料水準は東京23区より低めです。アットホームが公表する「全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向」(2025年11月)でファミリータイプ(50~70㎡)の賃料水準を見ると、東京都下は137,077円と東京23区の251,446円からは開きがあります。
上述のように東京都下では人口流入が勢いづいていますが、分譲マンションの価格高騰や賃料の上昇加速を背景に居住ニーズが23区の周辺部へと移っている可能性があります。
今後もこの状況は続くのか、またその場合、東京都下での賃料上昇率が勢いづいていく可能性はあるのかについても注視していきたいところです。
※本記事作成時点:2026年1月30日
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