
事業用不動産投資額が1兆円突破、金融危機後で初
今回は、国内ホテル市場を支える宿泊需要とインバウンド受入態勢の状況を確認します。日本人・外国人の宿泊動向に加え、国際定期便の状況も踏まえながら、ホテル市場を取り巻く需要構造を見ていきます。
まず、宿泊旅行統計をもとに、国内の延べ宿泊者数の推移を確認します。日本人と外国人を合わせた2025年の年間合計の延べ宿泊者数は、約653百万人泊と前年比0.8%減少しました(図表1)。

また、2026年に入ってからの月次ベースの推移を見ると、8月に至るまで前年同月比での減少が続いています(図表2)。

足元における宿泊需要鈍化がどこまで継続するのか、要注視の状況です。
全体での前年同月比での減少は2025年6月から2026年8月まで続いており、内訳では日本人が2025年1月以降、2026年5月を除いて前年同月比で減少し続けています。
ただ、日本人については、2025年の年間合計で約476百万人泊とコロナ禍も含めた2022年以前からの推移で見ると高めの水準でした(図表1)。
外国人については、2026年3月以降は前年同月比での減少が続いていますが(図表2)、日中関係の緊張化を背景に、中国の訪日外客数が2026年以降に急減していることも影響していると推察されます。
次に、地域別で延べ宿泊者数の規模の大きい東京と大阪の動向を確認すると、両地域で日本人と外国人ともに前年同月比での減少が続いています(図表3、4)。


全国の状況と同様に減少が続いていますが、東京について見ると2026年7月に約7.9百万人泊と2019年同月比では16.0%増であり、2022年12月以降は、コロナ前の2019年同月の水準を上回っている状況が続いています。
さらに、東京の2019年同月比について内訳を見ると、2025年2月以降は日本人の減少が続く一方、外国人の増加が続いています。
その外国人需要の影響について見ると、東京の延べ宿泊者数に占める外国人比率は2026年7月に55.4%と過半を超える水準であり、全体の宿泊需要に対して外国人がより寄与していることがうかがえます(図表5)。

出典(図表1~5):観光庁「宿泊旅行統計調査」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
別の側面から見ると、外国人需要に影響を受けやすい環境にあると推察されます。
次に、これら外国人需要の受け入れにおける、インフラ面の状況について見ていきます。
国土交通省の資料をもとに、2026年夏季(2026年3月29日~2026年10月24日)の国際定期便数を見ると、成田空港の1,605便に続き関西国際空港、羽田空港の順で多い状況になっています(図表6)。

前年の2025年夏季との比較では、羽田空港が1.7%増、福岡空港が6.7%増、那覇空港が4.8%増だった一方、成田空港は1.4%減、関西国際空港は14.0%減、中部国際空港は22.2%減、新千歳空港は1.4%減でした。
関西国際空港については、2025年夏季に1,447便と前年同期比26.1%増でしたが、大阪・関西万博開催の影響を受けた増加と推察され、2026年は反動減が生じたものと見られます。
また、各季の便数をコロナ前の2019年同期と比較すると、羽田空港・福岡空港・那覇空港で2019年を上回る状況がうかがえます。
特に、羽田空港や福岡空港では2026年夏季にそれぞれ38.0%増、27.8%増と便数の増強が目立っています(図表7)。

出典(図表6、7):国土交通省「各期の国際定期航空便の主な動向」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
これらの空港ではインバウンドの受入態勢が改善している一方、中部国際空港では2019年比で大幅に減少した状況が続いています。
上述のように、東京の延べ宿泊者数に占める外国人比率は過半を占めており、今後のホテル市場を考えるうえでは、宿泊需要に加え、国際定期便の動向などインバウンド受入態勢の変化にも注目していく必要があります。
※本記事作成時点:2026年10月16日
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