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住宅マーケットを見る上のポイントは?-どのデータに注目するべきか-

KDX ST パートナーズ株式会社

2025年3月24日

  • 不動産投資
住宅マーケットを見る上の ポイントは? -どのデータに注目するべきか-
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前回記事では、不動産各アセットクラスの特性について、リスク・リターンを中心に解説してきましたが、今回から3回にわたり、個別アセットクラスのマーケットを見る上でのポイントについて、どのようなデータに注目すべきかを交えながらお伝えしていきます。

第1回は住宅マーケットについてです。

まず、住宅マーケットのみならず不動産マーケットを見る上で基本的なポイントとなるのが、需要と供給の動向を把握する、ということです。需要と供給のバランスが、物件の賃料に影響を与えるため、これらに関連するデータをウォッチすることが、マーケット動向を把握していく上で重要です。

実際に、需要を示す人口の流入状況と、供給を示す住宅着工戸数の推移を見てみましょう。

図表1は東京23区における転入超過人数(転入者数ー転出者数)と住宅着工戸数(持家、貸家などの新設合計)の推移を示したものです。


東京23区の転入超過人数と住宅着工戸数の推移_2025年1月時点
出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」および国土交通省「住宅着工統計」よりKDX ST パートナーズ株式会社が作成

コロナ禍の2021年には転入超過人数が-16,890人、つまり転出超過となったものの、以降は、転入超過へ戻り2024年は121,904人となっています。東京23区への人口流入の勢いが戻ってきていることは、東京23区及びその周縁部における住宅需要を高める要因になると言えるでしょう。

一方、供給面では東京23区における住宅着工戸数は抑制傾向にあり、2024年は98,411戸と徐々にその水準が下がってきています。これは、建築費が上昇する中、新規供給に際して事業採算が合うかどうかの選別が進んでいるものと考えられます。

なお、これら需給データを見るうえで、いくつか留意点があります。例えば、人口は世帯数ではないので住宅戸数と同数ではないこと、着工から竣工までにタイムラグがあるため需給のタイミングは同じではないこと、経年による滅失があることなどに留意が必要です。

東京23区における人口流入は増加し需要は堅調である一方、着工戸数は抑えられてきていることから、需給バランスは引き締まっている状況であることが予想されます。

このような需給バランスの中、賃料動向についてみると、コロナ禍で人口流入が減少した時には需給が緩み、シングル向けを中心に賃料が低下しましたが、足元では東京23区の賃貸マンションは上昇が顕著であり、タイプ別にみてもそれぞれ2015年以降で過去最高水準となっています(図表2)。


賃貸マンションの募集賃料指数(東京23区)_2025年1月時点
出典:アットホーム株式会社「全国主要都市の『賃貸マンション・アパート』募集家賃動向」よりKDX ST パートナーズ株式会社が作成

供給が抑制される中で東京23区への人口流入が回復してきていることが背景にありますが、その他の理由として、高騰する分譲マンションが買いづらい状況になり需要が賃貸へ流れてきていることも推察されます。

コロナ禍からの社会活動の正常化で東京に人の動きが戻ってきていますが、引き続き今後の住宅マーケットを見通す上では、人口移動の状況、住宅着工戸数をベースに定点観測していくことが重要です。

※本記事作成時点:2025年3月7日

本記事は、KDX ST パートナーズ株式会社(以下、「当社」といいます)および当社グループによる、不動産STなどに関する情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘または斡旋を目的としたものではありません。
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