
オフィスマーケットの動向について-東京都心部の市況はビルタイプ別に見ても総じて良好-
今回は足元のJ-REITマーケットの動向を見ていきます。
日本銀行による利上げが段階的に進み、J-REITにとっては金利負担が重くなってきてはいるものの、2025年以降の市況は総じて改善してきていました。
J-REITのバリュエーション(企業価値評価)、資金調達や物件取得の動きなども含め、各銘柄でどのような動きが見られているのか確認していきます。
東証REIT指数は2022年以降に低下トレンドとなった後、2025年は上昇へと転じ、足元の2026年3月13日終値は1,951.23と2026年始からは約3%低下しましたが、2025年始からは約18%上昇しており、市況は改善してきています(図表1)。

出典:日本取引所グループ「株価指数ヒストリカルグラフ」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
一方、ここでJ-REITのバリュエーション指標の1つであるNAV倍率についても見ていきましょう。
そもそもNAVとはNet Asset Valueのことで、総資産から総負債を引いた純資産価値にあたります。さらにNAV倍率というのは1口あたりの投資口価格(株価)を1口あたりNAVで割ったもので、1倍を超えると市場価格が純資産価値より高い、1倍より低いと市場価格が純資産価値より低いという状況になります。
1倍未満の状況で増資を行うと既存投資家の1口あたりの純資産価値が下がり希薄化してしまうため、NAV倍率が低いほど公募増資へのハードルは高くなります。
一般社団法人 不動産証券化協会が公表するデータよりJ-REITのNAV倍率の推移を見ると、直近の2026年2月末は0.94倍と2025年以降は徐々に上昇してきています(図表2)。

公募増資額の動きを見ると、2025年はまだ投資口価格が改善途中にあり、資金調達は低調で、2025年第1四半期は前年同期比93.6%減、第2四半期は71.6%減、第3四半期は87.3%減と大幅に減少していました。ただ、第4四半期は74.7%増の439億円と再び資金調達の動きが出始めてきました(図表3)。

出典(図表2、3):一般社団法人 不動産証券化協会「ARES J-REIT Databook」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
2026年に入ってからも公募増資の動きは続き、日本ビルファンド投資法人、東海道リート投資法人、MIRARTH不動産投資法人、日本リート投資法人、ジャパン・ホテル・リート投資法人、Oneリート投資法人が公募増資を発表しました。
公募増資のタイミングと併せて、日本ビルファンド投資法人はオフィス2物件(計約469億円)、東海道リート投資法人は住宅やホテルなど計5物件(計約129億円)、MIRARTH不動産投資法人は住宅やオフィスなど計7物件(計約173億円)、日本リート投資法人はホテルなど計4物件(計約154億円)、ジャパン・ホテル・リート投資法人はホテル「ハイアット リージェンシー東京」(約1,260億円)、Oneリート投資法人はホテルやオフィスなど計6物件(計約299億円)を取得すると発表し、分配金成長へ向けた動きを進めています。
中でも、ジャパン・ホテル・リート投資法人は「ハイアット リージェンシー東京」を3月に取得済で、金額面でも特に大型であり、プレスリリースを見ると、ハイアットというインターナショナルブランドを背景とした欧米系インバウンド需要への期待感がうかがわれます。
都心部におけるインバウンド需要が期待されるフルサービス型ホテルに対する、J-REITの投資意欲の高さが示される事例です。
J-REITマーケットでの資金調達および物件取得の動きが再開し、不動産投資市場が勢いづくのかどうか、今後のマーケット動向を注視したいところです。
※本記事作成時点:2026年3月19日
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