
日本銀行による政策金利引き上げが住宅ローン金利に与える影響とは?
これまでの記事で、賃貸住宅マーケットをみるうえで、潜在的な需要を計るには人口動態を把握することが有用とご紹介しましたが、改めて総務省が発表した住民基本台帳に基づく2024年の人口移動報告(国内移動・日本人と外国人の合計)をみると、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は転入者数が転出者数を上回り、135,843人の転入超過となりました。
転入超過数は前年比で9,328人拡大しており、コロナ禍の2021年には81,699人にまで落ち込んでいましたが、再び東京圏へ人口が流入していることが窺われます。
東京圏の内訳では、東京都が79,285人、埼玉県が21,736人、千葉県が7,859人、神奈川県が26,963人となっており、東京都だけが2022年より3年連続で増加し、人口流入が特に戻ってきている状況です。こちらは国内移動についてのデータとなりますが、2020年より国外からの人口流入のデータも公表されるようになり、これも合わせながら足元までの推移をみていきましょう。
国外からの移動も加味しながら人口流入が堅調である東京都に焦点を当ててみると、国内移動と国外からの移動を含めた転入超過数は図表1のようになります。
こちらの推移をみると、国外からの転入超過数は、2020年は24,607人、2021年は転出超過のマイナス2,718人、2022年は66,548人、2023年は64,831人、2024年は72,795人と、2024年は国外からのデータの公表開始以降で最も多くなっています。
さらに、図表2のように国外からの転入超過数を日本人と外国人で分けてみると、国外からの人口流入は外国人によって支えられていることが分かります。
出典(図表1、2):総務省「住民基本台帳人口移動報告」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
次に、東京都が公表する東京都の人口の月次増減をみてみましょう。
図表3は住民基本台帳に基づく毎月1日現在の人口の前月比増減をみたものです。2024年1月1日時点から2025年1月1日時点までの人口増加数をみると、日本人は16,825人、外国人は73,807人と東京都の人口増には外国人が大きなウェイトを占めており、上述の様に国外からの外国人の人口流入が東京都の人口増に寄与していると推察されます。
出典:東京都「住民基本台帳による世帯と人口」よりKDX ST パートナーズ株式会社作成
今後については、米国トランプ政権の関税政策が世界経済へ与える影響がまだ不透明であり、仮に世界経済が鈍化するとなればヒトの国際移動も停滞する恐れがあります。国外からの人口流入に影響を与えるのかどうか、引き続き人口動態を注視していきたいところです。
※本記事作成時点:2025年5月16日
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